幕末詩歌


土方歲三,新選組(魔鬼)副長。

たとひ身は 蝦夷の島根に 朽ちるとも 魂は東の 君や守らむ

報国の 心を忘るる 婦人哉

梅の花 壱輪咲ても 梅は梅

春の草 五色までは 覚えけり 

しれば迷い しなければ迷わぬ 恋の道

叩かれて 音のひゞきし なづなかな

玉川に鮎つり来るやひがんかな

鶯や はたきの音も ついやめる

公用に 出てゆくみちや 春の月

白牡丹 月夜月夜に 染めてほし

来た人に もらいあくびや 春の雨

水音に 添ひてききけり 川千鳥

早き瀬に 力足りぬか 下り鮎

おもしろき 夜着の列や 今朝の雪

沖田總司,新選組一番隊隊長。

動かねば 闇にへだつや 花と水

近藤勇,新選組局長。

山守の使いはこねど 馬に鞍 置いてぞ待たん 花の盛りを

武田觀柳齋,新選組五番隊隊長,軍師。

我も同じ 台(うとな)やとはん ゆくすえは 同じ御国に あふよしもかな

藤堂平助,新選組八番隊隊長,死於油小路事件。

益荒男の 七世をかけて誓いてし ことばたがわじ わが大君のため 

伊東甲子太郎,新選組參謀,死於油小路事件。

残しおく 言の葉草のさはなれど いはで別るる 袖の白露

ちりぢりの 身はいかにせん けふよりは すめら宮居の 守りともがな

筆のあと 見るぞうれしき これなくば いかであづまの 春を知るべき

我が袖の 涙にやどる影ぞとも 知らでや人の 月を眺めん

心なき 人を心に思ひ初め こころ乱るる 秋の萩原

おのれのみ 深くも思ひ初めにけり うつろいやすき 花の色香ぞ

春風に吹きさそわれて山桜 散りてぞ人に惜しまれるかな

すめらぎの 護りともなれ 黒髪の 乱れたる世に 死ぬる身なれば 

波風の あらき世なれば 如何にせん よしや淵瀬に 身はしづむとも

こち吹くと 云ひしむかしの ゆかしけれ 今も春辺に にほふ梅が香

行末は かくこそならめ われもまた 湊川原の こけの石ふみ 

芹澤鴨,新選組初期三人局長時代局長之一,肅清被暗殺。

雪霜に 色よく花のさきがけて 散りても後に匂ふ梅が香

松平榮保,會津藩主。

幾人の 涙は石にそそぐとも その名は世々に 朽じとぞ思ふ

孝明天皇。

和らくも たけき心も相生のまつの落葉のあらす栄えむ

もののふと 心あわしていわおをも つらぬきてまし 世々のおもいて

桂小五郎。

酔うては枕す美人の膝 覚めては握る天下の権

世の中は桜も月もなみだかな

去歳(きょさい千軍我が彊(きょう)に逼る 今朝(こんちょう)孤剣(こけん)他郷に入る 浮生萬事変じて夢の如し 一片依然男子の腸

西鄉隆盛,薩摩藩。

ふたつなき 道に此身を 捨小舟 波立たばとて 風吹かばとて

百千の窮鬼 吾れ何ぞ畏れん 脱出す 人間虎狼の群

幾たびか辛酸を経て 志始めて堅し 丈夫玉砕すとも甎全を恥ず 一家の遺事 人知るや否や 児孫の為に美田を買わず

秋夜(しゅうや)東山(ひがしやま)の月 光輝(こうき)缺(か)け、却って明らかなり 京華(けいか)千里の客 相照らす故郷の情(じょう)

文(ぶん)を学びて主(しゅ)なきは痴人(ちじん)に等し 天心(てんしん)を認得(にんとく)すれば志気振るう 百派(ひゃっぱ)紛紜(ふんうん)乱れて線(いと)の如し< 千秋不動(せんしゅう)なるは一声(せい)の仁(じん)

坂本龍馬,土佐藩。

世の人は われをなにとも ゆはばいへ わがなすことは われのみぞしる

又あふと 思ふ心をしるべにて 道なき世にも 出づる旅かな

嵐山 夕べ淋しく鳴る鐘に こぼれそめてし 木々の紅葉

月と日の むかしをしのぶ みなと川 流れて清き 菊の下水

藤の花 今をさかりに 咲きつれど 船いそがれて 見返りもせず

心から のどけくもあるか 野べはなを 雪げながらの 春風ぞふく 

久坂玄瑞,長州藩。

黒雲(こくうん)低くして起きず 霖雨(りんう)山川(さんせん)に泛(う)かぶ 十日嶽下に往(ゆ)く 嘗(かつ)てその巓(いただき)を見ず 大風今朝吹いて雲(くも)白雪を散らす 千仞青天を照らす 旅人快を呼び耕人喜ぶ 孤士何ぞ独り張然たる

神垣の みかきの梅は散りぬとも 桜かざして われ出でたたむ

ゆく川の過ぎにし人の跡とへばますら猛男も涙ぐましも

葦辺ゆく 鴨川あたり青柳の 乱るる糸の心地して 鷺さへ知らぬ水底の 深きわたしが胸の中 たれに語ろか 聞かしようか 実に苦労の苦の世界

今は早や 都の春も時ならめ 吾家のさくら 春さきにけり

ほととぎす 血になく声は 有明の 月より外にきく人ぞなき

久方の都やいづく 白雪の 積れる山を 今日こゆるかも

龍田川 竿で渡れば 紅葉が散るし 渡らにゃ聞えぬ 鹿の声

ふるさとの 花さへ見ずに 豊浦の 新さきもりと 吾は来にけり

荒磯に よせ来る浪の岩にふれ 千々に砕くる 吾が思ひかな

夕なぎに 痛くな泣きそ 浜千鳥 なかなくきけば 都しおもほゆ

取佩ける 太刀の光は もののふの 常にみれども いやめずらしき

十里 菜花の外 春風に野の雉鳴く 何人ぞ犢(こうし)を牽(ひ)きて至る 縄の帯短刀を横たふ

桜花 手折りかざゝむ 武士(もののふ)の 鎧のうへに いろ香をみせて

香を千世に 留めぬるとも 武士の あだなる花の 跡ぞ悲しき 

梓弓 はるは来にけり もののふの 引かへさじと 出づるたびかな

荒磯に よせ来る浪の岩にふれ 千々に砕くる 吾が思いかな

けふもまた 知られぬ露の命もて 千とせをてらす 月を見るかな

秋の夜は かはらざらめと 殊更に うら悲しきは もちの夜の月 

軒端の月の露とすむ さむき夕べは手枕に いのねられねば橘の 匂える妹の恋しけれ

はかなくも 浮世の人のあだ桜 いづくの野辺に ちらんものかは

高衫晉作,長州藩,騎兵隊。

翼あらば千里の外も飛めぐり よろつの国を 見んとしそ 思う

<回先生曰 振猛尚余十八回>真にこれ関西志士の魁 英風早動し我邦に来たるう 霊魂なお遺憾すべし多きを 猛気更に余す十七回

<先師かつて久坂義助を称して少年第一流という> 骨を皇城に埋めて骨さらに香る  当時、苦節、我が州を震わす  知る君が同盟の裏に卓立し  少年第一流に背かざりしを

先生を 慕うてようやく 野山獄 

散り行きし 花に色香は おとれとも 同し心の 散る桜花 

ともし灯の 影ほそく見る 今宵かな

真があるなら 今月今宵 あけて正月 だれも来る 

人間は、艱難は共にできるが、富貴は共にできない

三千世界の烏を殺し ぬしと朝寝がしてみたい

何をくよくよ 川ばた柳 水の流れを見てくらす

おもしろき こともなき世を おもしろく

身は棲禽(せいきん)に似て繋囚(けいしゅう)となる 心は逝く水の如く悠々に付す夜来独り怪しむ孤床の上 魂は走り夢は迷う 六十洲

昨夜炎を洗って涼味新たに 今朝秋立って葉声頻りなり 始めてみる林景の詩意に堪ゆるを 残月依々として影半輪

万物元来始終あり 人生いわんや百年の躬少なし 競名争利営々として没す 識らず何の娯(たのしみ)か この中に存せん

わしとお前は 焼山葛 うらは切れても 根は切れぬ

細君はまさに我が閑居に到らんとす 妾女は胸間にわずらい余りあり これより両花艶美を争う 主人手をこまねいて如何ともするなし 

内憂外患吾が州に迫る 正にこれ邦家存亡の秋(とき) 将に回天回運の策を立てんとす 親を捨て子を捨つる 何ぞ悲しまん

神武起ってより二千年 億万の心魂散じて煙となる 愚者、英雄ともに白骨 真にこの浮世は値三銭 

死だなら 釈迦と孔子に追いついて 道の奥義を 尋ねんとこそ思へ

生とは我れを労するなり。死とは天の乃ち我を安んずるなり

西へ行く 人を慕うて東行く 我が心 神や知るらん

雪折れし 松に罪こそなかりけり 裁にし人の むくいなるらん 

自ら愧ず知君の我が狂を容るるを 山荘我を留めて更に多情 浮沈十年杞憂の志 若かず閑雲野鶴の清きに

自ら恥ず残骸晩風に泣くを 怪しむをやめよ家を華表の上に移すを 暮朝廟前の紅を払わんと欲す 

脱出す風塵(ふうじん)の際(きわ) 酒瓶ただみずから親しむ

酔いきたりて肘(ひじ)を枕に睡(ねむ)る しらず何人をか夢みる 

猛烈の奇兵 何の志す所ぞ 一死をもって邦家に報いんと要す むしろ欣ぶ 名を遂げ功成るの後 共に招魂場上の花となるを 

夢は迷う 指月山頭(しづきさんとう)の月 人は東洋万里の船にあり

地中千里 黄泉の下 知らず孔翁(こうおう)如何(いかんの)の情ぞ

変檣(へんしょう)林立して雲を穿つの所 独り宝刀を撫(ぶ)して月明に対す

吉田松陰,長州藩。

箱根山 越すとき汗の 出やせん 君を思いて ぬぐい清めん

夢路にも かへらぬ関を 打ち越えて 今をかぎりと 渡る小瀬川

身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留めおかまし 大和魂

親思ふ こころにまさる親ごころ けふの音づれ 何ときくらん 

吾頬は 桜色にぞなりにけり 春来にけると 人や見るらん

此程に 思定し 出立ハ けふきくこそ 嬉しかりける

吉田稔磨,長州藩。

わけのぼる 麓の道は多けれど 同じ高根の 月をこそ見れ

勝海舟,幕臣。

撫安三百歳 漸く移る幕府の権 鬱気発する所無し 号泣して蒼天に問うのみ

About 定春

‧如果我不透露性別,大部分的人會以為我是男生。 ‧如果我不說,大部分的人會以為我大女人主義,其實我迷戀死大男人主義的男人。 ‧一個自認憤世嫉俗的人,一個常被說怪咖的人,一個被自己老爸稱為瘋子的人。 ‧一個電玩狂、教父迷,對灌籃高手有奇妙執著的人。 ‧據朋友形容,我是個沒有宅氣卻什麼都收的宅女。 ‧熱愛足球,死忠巴塞隆納球迷。 ‧熱愛文學,異常挑剔。 ‧滿身病痛,天妒英才的最佳寫照。
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